これは天使?仏?崖に刻まれた祈りと謎「上坂田の磨崖仏」」【大分の穴場観光スポット】
- 史帆 市原
- 3月24日
- 読了時間: 6分

崖の奥に、謎の仏像が潜む — 山道の先の祈りの空間
今回ご紹介するのは上坂田の磨崖仏(かみさかたのまがいぶつ)。大分県竹田市の山あいにある、知られざる祈りの空間。
崖に彫られた仏像は、目を見開き怒ったような表情!そして翼を背負ったような姿をしています。竹田は隠れキリシタンが多くいた場所。実は、仏を信仰していると見せかけて、天使を壁に刻んだのでは?という説も。観光地というより、静かに手を合わせたくなる不思議な場所です。
そんな上坂田の磨崖仏、歴史的な紹介、実際に家族で行ったレポートを共にご紹介しますね。
私たちについて
私たちは東京から竹田に移住して10年。シェアハウスと竹田まちホテルという小さな宿を営んでいます。ガイドブックには載っていないけど、何度でも行きたくなる「ここはすごい!」という場所が竹田にはあちこちにあります。そんな竹田のディープスポットや、大分の穴場観光スポットを少しずつ紹介していきたいと思っています。観光地化された場所に刺激を感じなくなった人に、特におすすめです。
上坂田の磨崖仏とは?

上坂田の磨崖仏は、大分県竹田市上坂田の山中、木々に囲まれた崖に彫られた仏像群です。自然の岩肌に手作業で掘られたと思われるこの磨崖仏は、正確な制作時期は不明。江戸時代末期(嘉永6年・1853年)の銘が石窟内にあることから、その頃に作られたとも言われています。地元では「安楽様」「しょうりょう様」などと呼ばれています。
この像、ただの磨崖仏ではありません。なんと、背中に翼のようなものをたずさえた不思議な姿をしているのです。仏というより、天使?翼を持った磨崖仏、仏は本当に珍しく、日本全国でも例を見ないそう。
上坂田の磨崖仏=隠れキリシタン信仰の隠れ蓑??というミステリー
竹田ではこの磨崖仏を隠れキリシタン信仰の隠れ蓑だったんじゃないか?と囁かれています(私自身、歴史好きな人から隠れキリシタンスポットとして教えてもらった)。仏教、キリスト教、そして山岳信仰。いくつもの信仰が交錯する中で生まれた可能性もある、ミステリアスな磨崖仏です。
翼を持つ像は日本をルーツとする信仰としては、異質すぎる!
ちょっと調べてみると、ますます、この翼を持っているってことは隠れキリシタンっぽい。
日本の神様は「姿形があいまい」な存在が多い
日本の神道やアニミズムでは、神様は人間のような姿でなく「自然そのもの」や「霊的な気配」として表現されることが多いそう。鳥や蛇、狐などに“宿る”とはされても、あえて「翼のある人型」として彫像化されることはほとんどない。
「天狗」などの例はあるが、仏像とは結びつかない
山岳信仰では天狗(羽うちわ・羽根を持つ異形の存在)が登場しますが、これは神仏ではなく“異界の存在”としての扱い。しかも、翼ではなく「羽団扇」や「飛翔能力の暗示」。
翼=キリスト教や西洋的表現?
天使のように翼を持つ姿は、むしろキリスト教の影響と考えたほうが自然です。隠れキリシタンの信仰が民間に溶け込み、独自の造形になった可能性??
(隠れキリシタン信仰は、洞窟が舞台になっている場所が多い。14世紀ごろのキリスト教の礼拝堂の形式を受け継いでいるんだそう。ここも、洞窟の中にある…)
ちなみに、大分県はもともと磨崖仏が多く残されている地域として知られており、ここ上坂田の磨崖仏もそのひとつ。石仏信仰が人々の暮らしに根づいていたことと、隠れキリシタンの信仰が合わさって、こんな不思議な場所ができた???う~ん。おもしろい!
実際に行ってみたレポート
カメラを持って春の日に城原周辺をお散歩したので、その時の様子をレポートしますね。

上坂田東公民館から西に約200メートル、小さな鳥居が入り口の目印です。この鳥居の無垢な感じ、たまらない丸太を組み合わせて作りました!というシンプルさと、蔦が張っている感じ。映画に出てきそう。

説明書きがある。以前は、仏像に彩色する人が来て塗ってたんだって。

こんな道がずっと進む。急だけど、スニーカーを履いていれば問題なし。ヒール、サンダルはNG。

道端の植物が美しい〜。

森?薮?を横目にすすむ。

春の始まりの日だったので、鳥の鳴き声がたくさん聞こえて、娘もごきげん。

二股の木がかわいかった。

10分弱歩くと、さらに道が細くなる。ここは道がちょっと斜めになっていて、そのまま下は崖になっているので足元に注意。雨上がりにはぬかるみます。なんでこんな奥地に作ったんだろう?家も何もない、こんな先に?

そして現れるのがこの洞窟!!!崖に四角く切り取られている。実際の迫力、すごいです。

近づくと、暗い中に、像が彫られている。

え!何これ?????普通の仏像に見慣れていると、違和感がすごい。

ぎょろっとした目。でかい鼻。口は食いしばっているような。翼のように見える、背中に背負った不思議なもの!!

すぐ横には、別の祈りの場所が。う〜ん。こっちは見慣れているぞ。

娘は怖くて、ほとんど中に入らなかった。確かに、怖いのわかる。こんな山奥に、こんな崖を掘り、あんな顔の像を掘った。何らかの執念のような、強い想いを感じる。

洞窟の外壁は植物だらけ。生命体の内部に潜む、神。そんなイメージ。

あ〜。濃かった!帰路へ。

この往復の道のりも、気候が良ければとっても楽しい散歩道。4歳の娘も、全部歩きました!

ただいま!鳥居さん。明るくひらけた感じに、帰ってきた〜って感じがする。

娘は腹ごしらえに、菜の花をむしゃむしゃ食べていました(笑)また、新緑の季節にこよう。
大分の穴場スポットとしての魅力を再発見
上坂田の磨崖仏は、「観光名所」として整備された場所ではありません。でもそのぶん、手つかずの自然や、残されたままの祈りの跡を感じられる特別な場所でもあります。
歴史的な背景も詳細にはわかっていませんが、それもまた、この場所の魅力だと思います。「隠れキリシタンの遺!?」ロマンと想像力が試されるような、不思議な余白が残されたスポット。
静かな時間を味わいたい方、自然の中で歴史の気配を感じたい方にはぴったり。観光地化されていない大分の穴場スポットとして、心に残る体験ができる場所です。
アクセスと、竹田まちホテルからのおすすめコース
上坂田の磨崖仏(かみさかたのまがいぶつ)詳細
住所:大分県竹田市上坂田719 google map
駐車場:なし
※黄牛の滝駐車場から約1キロなのでそこに停めて歩いても
トイレ:なし
上坂田の磨崖仏へは、竹田市街地から車で約15分。道中は田んぼと山に囲まれた、のどかな景色の中をドライブできます。
「半日でちょっといいところ行きたい」という日には、以下のコースがおすすめ:
城原神社 → 上坂田の磨崖仏 → 黄牛の滝
どこも近くて、ぐるっと回っても3〜4時間ほどで楽しめます。
実際に行ったこのコースでの散策レポートはこちら。
📍 竹田まちホテル
上坂田の磨崖仏までは、竹田まちホテルから車で約20〜25分。観光の拠点にぴったりの「竹田まちホテル」で、広々泊まりながら、ディープな竹田をめぐってみてください。
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